Home テーマから写真を探す 秩父 埼玉県秩父地方の秋祭り
埼玉県秩父地方の秋祭り

aki_01.jpg aki_02.jpg aki_03.jpg aki_04.jpg aki_05.jpg aki_06.jpg aki_07.jpg aki_08.jpg aki_09.jpg aki_10.jpg aki_11.jpg aki_12.jpg aki_13.jpg aki_14.jpg aki_15.jpg aki_16.jpg aki_17.jpg aki_18.jpg aki_19.jpg

 

「龍」は轟音とともに天に向かって一直線に昇っていった。花火が威勢よくはじけ、色とりどりの煙が出て落下傘が開き、「龍」はその体を風に任せてゆっくりと舞い降りてくる。観客が拍手喝采する。

10月中旬に行われる吉田の「龍勢祭り」だ。龍勢とは、黒色火薬を詰めた松の木の筒に、10m以上もある竹の尻尾が付いたロケットのこと。埼玉県指定無形民俗文化財になっていて、農民ロケットとも呼ばれる。

『秩父の祭り』(郷土出版社1998年)によると、「龍勢は、その起源についていろいろと語り継がれているが、決め手になるものがない。しかし火薬史や伝承などから推理すると、江戸時代初頭またはその少し以前に始まり、江戸時代前期から中期にかけて現在のような形態に完成したものであろう」

私は以前、写真を撮るために中国雲南省に通っていた時期があるが、西双版納タイ族自治州で、竹ロケット飛ばし大会を何度か見ている。竹筒に火薬を詰めて長さ10m以上の竹の先端に取り付け、櫓を組んで、村対抗で距離を競う。水を司る龍の姿にも似せているので、もともとは雨乞いや五穀豊穣を祈願する農耕の神事だったようだ。

竹ロケット飛ばしは、そのほか、東北タイのノンカイでも見た。タイ系民族に見られる行事だ。実際、竹ロケットが縁で、平成11年、旧吉田町(秩父市)は、タイ国のヤソトン県ヤソトン市と姉妹都市の提携を結び、祭りには民族衣装を着たタイ人も参加していた。

秩父で再び雲南省と似ている祭りに出会うとは驚きだった。

他にも、秩父には年間200以上といわれる祭りや神事がある。祭りは特に秋と春に多いが、秋祭りで興味を引かれたものに「悪魔払い」と「テンゴウ祭り」がある。

浦山の獅子舞は二日間にわたって行われる。大日堂では祈願者の悪疫の退散・家内安全などを祈願して獅子たちが舞うのだが、動きが激しいのが特徴的だ。

祭りの二日目の夕方「悪魔払い」が行われる。悪魔に扮した男たちが家々を巡る。家人たちの周りを、竹で畳をたたきながら「悪魔祓い」と叫んで周り続ける。悪魔が去るまで家人たちはじっと正座をしている。

また、寒さが一段と進んでくると、白久の原地区で「テンゴウ祭り」が行われる。昔は多くの地域で行われた、お天狗様(山の神)、塞の神をまつる子供中心の行事だったが、秩父ではこの原地区だけに残っている。今から30年ほど前は15人以上の子供が参加して見物人も多かったという。昨年参加した子供は5人。これからますます少なくなると地元の人は言っていた。

三角錐のやぐらを立て、木、竹、桧、藁を使って周りを囲み、5畳ほどの広さの「天狗小屋」を作る。天辺にはワラを束ねた「天狗の枕」と呼ばれる俵状のものを下げ、祭神を迎える。祭りの日の午後、「天狗小屋」の中でお菓子を食べながら過ごす。昔子どものころ夏休みになるとダンボールで「秘密基地」を作って友だちと泊まって遊んだりしたものだが、テンゴウ祭りにも同じ匂いを感じる。大人の監視から抜け出して、子どもだけで神(天狗)と会話をする場なのだ。

あたりが暗くなり、子どもたちが天狗小屋の前に並び太鼓をたたきながら「菓子をくれるぞ~!」と大声で叫ぶと、ふもとから続々と人々が集まってくる。消防団も集合すると、いよいよ天狗小屋に点火される。小屋はあっという間に燃えて、あたり一面昼のような明るさと暖かさになる。燃え上がる炎にわくわくする。ふもとから見ると、まるで山火事のようだった。

昔は、近隣の村と「天狗小屋」の出来を張り合っていたそうで、祭りの日の前日に他の村へ「焼き討ちしにいった」という荒っぽい話も聞いた。今ではありえない話である。

「秩父と雲南が似ている」と私が感じたのは、祭りそのものが似ていること以上に、人と山との親密な関係性にあるようだ。山での暮らし方には、国や民族が違っていても、同じような匂いがある。それが私にはたまらない魅力なのである。

 

 
Copyright © 2017 aoyagi kenji.com  Photo Gallery for the people after 100 years. All Rights Reserved.
Joomla! is Free Software released under the GNU/GPL License.
Design by Next Level Design Lizenztyp CC